サロメブルー
ゆえづ


血反吐を捏ねあげた粘土の
完璧なフォルムを撫でつける
素直な指がいとおしく

嗚咽をこらえきれなかった
慈悲深い先生は
今にも倒れそうな花瓶を支えるように
わたしを揺すり起こしたけれど
ちぎり落とした塑像の首と
床にへばりついてわたしは泣いた
窓辺でうなだれる桔梗あれの
びっしりと走るあおい花脈そっくりに


生コンを流し込んだプールには
全裸の女が翼を広げた鳥のような格好で
生きながらに埋まっており
硬化してゆく人体オブジェを
わたしは一人
プールサイドから見下ろしていた


へったくそなキリスト!

そこへ足早にやってきて
ヌガーをひとかけ差し出した
クラスメイトの健やかさ


ねえ
生け贄みたいな午後だね


まっ逆さまに突き落とされる季節はブルー
ひるがえるスカートでふざけている
呆れ返るほどのわたしがまだ

あはは
ほんとすごく甘いこれ




自由詩 サロメブルー Copyright ゆえづ 2009-09-30 01:55:23
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