サロメブルー
ゆえづ
血反吐を捏ねあげた粘土の
完璧なフォルムを撫でつける
素直な指がいとおしく
嗚咽をこらえきれなかった
慈悲深い先生は
今にも倒れそうな花瓶を支えるように
わたしを揺すり起こしたけれど
ちぎり落とした塑像の首と
床にへばりついてわたしは泣いた
窓辺でうなだれる桔梗あれの
びっしりと走るあおい花脈そっくりに
生コンを流し込んだプールには
全裸の女が翼を広げた鳥のような格好で
生きながらに埋まっており
硬化してゆく人体オブジェを
わたしは一人
プールサイドから見下ろしていた
へったくそなキリスト!
そこへ足早にやってきて
ヌガーをひとかけ差し出した
クラスメイトの健やかさ
ねえ
生け贄みたいな午後だね
まっ逆さまに突き落とされる季節はブルー
ひるがえるスカートでふざけている
呆れ返るほどのわたしがまだ
あはは
ほんとすごく甘いこれ