洗濯
百瀬朝子

よく晴れた日曜日の朝
洗い立ての心臓を
物干し竿に干した

切り離された動脈と静脈を
洗濯バサミでとめて

(ぶらぶら)

風に揺れるその動きが鈍い
滴る雫が陽光に照る

まるで星屑
数億光年の輝き

(儚い あれは、涙?)

流れる星を眺めては
しょっぱい記憶がちらり

(ちらちら)

あれはモールス信号
解読不可能 きっと
「あいしてる」や「ありがとう」みたいに
やさしい響きを伝える光

洗い立ての心臓を
胸におさめて明日を迎える
柔軟剤のにおいが
鼻をくすぐる月曜日の朝


自由詩 洗濯 Copyright 百瀬朝子 2009-09-29 12:17:52
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