カドミウムイエロー
ゆえづ
アスファルトには干からびた雛の死骸
散水の終わったテラスでは
欠けた樋から不規則に水が漏る
深爪の指を舐め
ただそれらを見下ろしている
穏やかな午後だ
路傍に転がる石ころのように
無表情なからだ
わたしたちの舌は決まって小鳥だった
さえずりはとても快活にイエロー
ノイズまみれの教室では
おかしな顔色をしたクラスメイトが
木片でケント紙を引っ掻きながら
潰れた太陽を歌っている
わたしは筆を洗う
黄色は散り散りに放たれる
青みがかったグレイへと
さえずりはビビッドに
排水溝をきゅるきゅると流れゆく
きいろきいろ
舌に痺れる錠剤のイエロー
痛かったでしょう?
廊下の流し場でクラスメイトが笑っていた
笑い返す間もなく彼女は
円形スロープを下りそのまま消えていった
ばららとたくさんの羽根を遺し
あ い たた
野良猫は路地へとまっ逆さまに落下する
鉄柵越しに立ち枯れた向かいの安アパートを
吊鉢のフェンネルが塗り潰す
わたしたちはまた舞い上がる
ゆるやかにうねる大気の中で
いのちは染み渡る
千切れんばかりの快活さで
きゅるる きゅるる