まぜるな危険
葛西曹達

子供の頃からずっと
非日常に憧れているのだ

ゲーム マンガ
アニメ 小説
退屈な日常に現を抜かし
幻想の世界にのめり込む

もし自分が
人の心が読めたら
動物と会話できたら
空を自由に飛べたら
宇宙に行けたら
ロボットを自在に操れたら
どんなに素晴らしいだろうか

残念ながら
空想を実現することはできない
でも空想は
いくらでも作れる

自分だけの世界
その世界は広くて
深くて果てしない

非日常が日常として
罷り通る世界

だけど
空想から現実を
生むことはできる

空を飛びたいと
強く憧れたある兄弟は
飛行機をつくった

それに
ゲームも マンガも
アニメも 小説も
みな作者がいる

空想をカタチにして
現実へ届けている

受け取った者は
自分だけの世界に
他者の空想を取り込んで
自分だけの世界の有り様を
少しずつ変えていく

もし自分だけの世界が
現実世界の一員として
生きる自分の原動力に
なっているとしたら

非日常に
空想の世界に憧れることは
意味のあること
大切なこと

空想と現実とは
変換可能

でも
決して混ぜてはいけない

そこに見境が
なくなってしまえば
やがて怪物が生まれる
だから混ぜてはいけない

現実世界は
自分だけの世界みたいに
すぐに変わったりはしない

それでも
少しずつ変えることは
不可能じゃない

自分だけの世界を
昇華させるのだ

自分だけの世界を
広げるために

それが やがて
現実世界を
変える糧になる

さあ
いざ尋常に
空想すべし


自由詩 まぜるな危険 Copyright 葛西曹達 2009-09-28 23:02:51
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