たられば桃太郎
オノ

昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいればよかったのに。
ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に、
行ったらよかったのに。
おばあさんが川で洗濯していると、川上から大きな桃が、
どんぶらこ、どんぶらこと流れてきたらよかったのに。
そしてその桃を持ち帰ったおばあさんが桃を割ると、
中から玉のような赤ちゃんが出てきたりすればよかったのに。
おじいさんとおばあさんは、男の子と桃から生まれた
桃太郎と名付け、大切に大切に育てていればよかったのに。
桃太郎はすくすくと成長すると、鬼が島の鬼を退治しますと
いって、おばあさんお手製のきびだんごを小脇に旅立てば
よかったのに。
道中、犬、サル、キジを手なずけて鬼が島へ向かい、
協力して鬼を退治してお姫様を助ければよかったのに。
お宝を持ち帰った桃太郎はおじいさんとおばあさんとお姫様と
いつまでもいつまでも、幸せに暮らせばよかったのに。
めでたしめでたし、とここで話が終わっていればよかったのに。


自由詩 たられば桃太郎 Copyright オノ 2009-09-27 20:21:43
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