おやすみの前に鉄のきりん
草野大悟
ずいぶん長いこと見つめてるけど
ひと思いにパクッとやっちゃえば
四年前まで首を伸ばしてパクッと
いやあ照れるなあ、おれ
そんなに見つめられると
心臓破裂しそうになるよ
うまれは溶鉱炉のなかさ
熱いなんて思わなかった
どろどろになってながれ
真っ赤に溶けてながれ
四年前の長さに首を伸ばせ、きりん
きりん、その一日だけをパクッと食って
見つめすぎた季節に幕を引け
ていうかあ上から目線で言われてもねえ
おれ、きりんよきりん、しかも鉄なの
そこんとこ分かっているわけ
そう、おいらの一日は間違ってないもんね。だれだっていつだってこの国に寄生している限り、だれだって、そう言うモンネ。
間違ってない。
すこしばかり涼しくなったね
そうですね、すこし、涼しくなりましたね
もう寝る?
はい、もう寝ます。
おやすみ
おやすみなさい・・・・・