遠い記憶
小岩井祐子

どれだけ考えても
記憶の深くを探しても
みつからないのです

あなたの声が

あたしはもう
永久に
喪ってしまったのでしょうか

あなたのしぐさや
あたしにくれたことばは
こんなにも鮮やかに
思い出せるのに

どうして
その時紡がれたはずの
色や
香りは
出てこないのでしょうか

それはあたしに
ひどく
かなしく
のしかかってくるのです

せめて
笑い声が
聞こえるならば


自由詩 遠い記憶 Copyright 小岩井祐子 2009-09-25 22:36:50
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