岡村明子

美しい憂鬱
高貴なる倦怠
曇り空の下のチューリップ
仔猫は路地を駆け出し
大きな黄色い車に轢かれた
子供たちはチョークで人型を描き
死体を学校の花壇に埋めた
その土によってしか咲けなかったチューリップ
いまチューリップは家族の食卓を飾る
にわか雨によって帰路を急がされた父親は驚くだろう
その花びら一枚一枚の新鮮さに
それがもたらす幸福な家族風景に


自由詩Copyright 岡村明子 2003-09-30 22:10:25
notebook Home 戻る