彼岸花
奈々

体に毒を持つということは
他のものを寄せ付けない
そういう事になるのだろう

忌み嫌われる形ということは
周りから孤立する
そういう事になるのだろう

墓場に育ち
葉も無く
血を吐いたような花で
気味が悪い
今更そんな事を言われても
私は元々種など無い体
人が植えた
この地で育つしかなく
この地で仲間を増やすしかなく
それは
死者の魂を守る為だったはず
私の毒に頼り
土中の生物を近付けないように
幾年月も前の世に
人がここに植えたはず

私自身の葉でさえも
私の姿を忌み嫌い
花が落ちた後で生えてくる

それでも私は
誇りを持って
この花を咲かそう
いにしえの民が
天上の花とよんだ
曼珠沙華

今の世での通り名は
彼岸へと誘う
彼岸花


自由詩 彼岸花 Copyright 奈々 2009-09-25 01:09:54
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