A僕
キムラタツオ




夜の鳥が帰って来ません
体から抜け出て街の夜を作る
僕の夜の鳥です
昼の間も空っぽなら
僕の体は孵化してしまいます
昼は僕の組成を変えてしまう
太陽は日の光は僕をゆるりゆるりAにしていきます
夜の鳥が体に居ない間
僕に戻しておかないと
僕は僕ではないAになって
孵化して羽化して完成してしまいます

体の中は光のないゆらゆらした
進化の最中に母や父から受け継いだ
闇を沈殿させています
僕らが閉じた時からの
永い闇の継承
僕らがもっと微小だった時からの
早く早く
僕の鳥よ
ま黒く戻って来ておくれ

夜の鳥が居ない間に
Aをラージエーに消化しないと
僕の体はAになってしまう
僕の指はA指に僕の骨はA骨にA光彩A柔突起Aマトリクスになってしまいます
ラージエーの二本の足が
うち向きに閉じてΘしてしまうかもしれません
いずれにしろ僕は僕の体のまま
中身が変わってしまうのです
卵の殻の中のように
サナギの繭の箱の頭骨の
仏像内仏の母の石の
種の
中のはる
はる
はる
はるはる
はるはるは
るはる
はるはるはるは
るはるはるはるはるは
るはる
はるはる
はる
はるはるはるは
るはるはるが詰まった○
のような僕の体は
夜の鳥が帰って来ません
ずっと虚ろな夜の体のままです

僕の鳥を知りませんか
昨夜のディナーは僕の鳥ではありませんか
あなたの中に居る夜は
僕の鳥ではありませんか







自由詩 A僕 Copyright キムラタツオ 2009-09-24 17:35:23
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