記憶
楼
ねぇ 覚えてますか?
初めて逢ったあの時を
風が涼しい秋の頃だった
貴方が席一つ開けた所で腰掛け
熱いブラックコ―ヒ―で火傷
少し可笑しくて笑った記憶が有る
クスクス笑う私に照れ隠しにソッポを向いて
ますます可笑しくて更に笑ってしまったよね?
そう それが私たちの出逢いのきっかけ
不幸にも貴方は脳死状態
貴方の瞼はもう開かないけれど
その記憶は私の中では鮮明に焼き付いてるよ
トクントクンと心臓は動いていて
まるで眠っているよう
握った手は握り返されないけれど
伝わる体温が心地よくて
貴方と一緒なら良いかもしれない
ふと笑ってしまった
気が付けば
また風が涼しい秋の頃だった