記憶



ねぇ 覚えてますか?


初めて逢ったあの時を


風が涼しい秋の頃だった


貴方が席一つ開けた所で腰掛け


熱いブラックコ―ヒ―で火傷


少し可笑しくて笑った記憶が有る


クスクス笑う私に照れ隠しにソッポを向いて


ますます可笑しくて更に笑ってしまったよね?


そう それが私たちの出逢いのきっかけ


不幸にも貴方は脳死状態


貴方の瞼はもう開かないけれど


その記憶は私の中では鮮明に焼き付いてるよ


トクントクンと心臓は動いていて


まるで眠っているよう


握った手は握り返されないけれど


伝わる体温が心地よくて


貴方と一緒なら良いかもしれない


ふと笑ってしまった


気が付けば


また風が涼しい秋の頃だった


自由詩 記憶 Copyright  2009-09-19 23:41:02
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