秘め事
百瀬朝子

記憶に新しいのは 笑って過ごした日々
私はあなたが好きでした
それだけでよかったのです

あなたと私のあいだは
隙間のような からっぽの距離がありました

無防備な あなたの左手を見つめ
ぎゅっとしないように
私の右手も あなたへの思いも 秘めました

その時は 楽しい日々が終わってしまわぬよう
それだけを願っていました

いま以上を望むなんて 贅沢は敵です
贅沢を我慢する私は苦しいのです
贅沢も我慢も 悪の属性なのでしょうか

痛みを背負って 違和を抱き
それでも笑顔でいたいと思いました

私はあなたが好きでした
あなたは誰が好きでしたか

きらきらする夜空に問いました
流れ星が見えたなら 今とは違う未来かな
あの時ぎゅっとしてたなら 今とは違う未来かな


自由詩 秘め事 Copyright 百瀬朝子 2009-09-19 22:08:29
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