空洞
佐藤真夏

鍵を開けた。
カプセルはわたしの匂いが循環する温室です。
あなたは、靴が足先に汗をかかせるように、シテ、
ふたりして、どこに向かっているのかも分かっていないのだから、
わたしたち、このまますり減ってなくなってしまうかもしれないね。
それでも、いい、ですから、力を抜か、ないで、いて、
なんて思う私は深くて広いおんなです。まるいのです。
見たこともない奥の奥があなたを守ろうとする、から、
そう、やって、あなたの抱えきれなくなったものたちを
わたしの引き出しに押し込んで、あなたはあなたに戻ればいい。
ここでは何も育たない。


自由詩 空洞 Copyright 佐藤真夏 2009-09-18 16:29:41
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