うずく、まる。
夏嶋 真子

うずくまる。
からだの表面積をちいさくして
世の中の37%を遮断する。


わたしのまるいふくらみと
わたしのしろいふとももをくっつけて
ひとつ。にすると
やわらかな鼓動を感じて
わたしがまあるくなっていく。

星とわたしが同じになる夜
えらいひとがいいました。
わたしを殺さないものは
わたしをより強くするって。


さっき拾ったカラスの目玉は磁器製でした。
木曜の光が角膜を破り
曖昧な手触りで新しい像を結ぶ。
カラスは瞳の奥で
本当の黒にはなれないまま
「愛せよ。」と命じているね。
滲んでは透きとおるこの夜の闇が
本当の黒だったらいいのに。


うずくまるわたしは
あらゆる、まる。で。
ドーナツ化現象をかじりながら
山手線のつり革を数える。
(わたしはどこにもいけないわ。)
街の明かりはひとつひとつが存在のサイン
円を描いて走り出す電車に
加速する光は、弧を描いて矢を放つ。
「まるいわたしのひとりを、的。にして射抜いて。」


時々混じる赤や黄色や緑の輝きが
日常を事細かに命令している。
信号の四番目の色が
月の光ならいいのに。
信号の四番目の色を
命令形でわたしに教えて。


四番目の命令がわたしを弱くしてもいいの。
(わたしはどこにもいかないわ。)


体中が

うずく、まる。

その夜に。




自由詩 うずく、まる。 Copyright 夏嶋 真子 2009-09-17 18:49:18縦
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