street girl/教会風景
月乃助


空に伸びる
まっすぐに、高く刺しつらぬくように
あんたのとがった先で、身動きをやめた
その瞼を閉じたすがたが追うのは
玲瓏なさやかな風、そして
ささやく色づき始めた秋の街
ザワと色をなくす煉瓦に
皺のひびに想いをうかせ
街の老いた尖塔は足の
その足のひつようともしない、ありもしない足かせで
音を立てているような気がした
あたいはなにから逃れようとしている
なにに向かって歩く
誰にも尋ねずに
教えをこうこともない
ネオン街の間に背をのばし
ラウンジの壁に唾をはくような
半端な音さえも
夜の深淵の暗さに目をとじる
脚をまくりあげては 刺青の彩をみせながら
通り過ぎるものたちに 絡み付き
客をまついらだちに
名もない繰言に夢言を重ね 
おさなさを 街にまきちらしては夜をののしる
あたいを子羊のむすめと見る時
寂しさを重ねたうすっぺらな衣に
抱きしめるよりも 簡単な
欲情さえもない せつなさに
捨てきれぬ想いばかりが
夜の街にいつまでも
眠らずにいる








自由詩 street girl/教会風景 Copyright 月乃助 2009-09-17 03:03:36
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