ハレルヤ
あ。
わたしたち、結婚しました
うす桃色の踊るような文字と
着物姿で微笑みあう男女の写真
はがきを持つ指の腹から
じわりじわりとあったかさが
組織の中まで浸透してくる
温度の正体をはっきりと言葉に出来ない
きっとまだ手にしたことのないぬくもり
秋晴れの空は高く広がっていて
綺麗な矢印の形をして飛ぶ渡り鳥
サッカーのフォーメーションみたいに
それぞれがそれぞれの場所を守るかのように
ごみごみしたものに憧れていた頃があった
荒地を走るジープがあげる砂ぼこりに似た
深く吸い込んでしまうとむせてしまいそうな
もう今や昔の話なんだけどね
野に咲く花より植木鉢の花が不幸だなんて
誰も決めることが出来ない
きちんと整えられた美しさも
むせ返るほこりっぽい美しさも
ひとつどころに共存するのは矛盾なのか
友人夫婦のはがきには
新婚旅行はハワイに行きますと書いてあった
あの渡り鳥も南の島を目指しているのだろうか
まだ知らないぬくもりも
絶えず目に飛び込んでくる美しさも
全てに向けて、羨望と賞賛を
ハレルヤ