四行詩四態 <8>
nonya
「予」
予め渡されたまっさらな空に
どんな雲を描いたって勝手だけど
思い込みの風力のぶんだけ
天気予報ってはずれるんだよね
「定」
定まった行先へ向かうバスの
定まりかけた速度が落ち着かなくて
定まらない視線で明日の事だけを考える
定まっていく景色を眺めながら
「調」
調えなければいられない悪癖を
理数系などとおだてられたお調子者が
乱調なメタファーを垂れ流す音は
裸の王様の鼻息にも似た哀しい調べ
「和」
酸いも甘いも花も嵐も地獄も極楽も
同じキャンバスの上で暖かな風景にしよう
牙や棘や毒針や鉤爪やたまに言葉も
同じ両手鍋の中で和やかなスープにしよう