天使の居ない夜
ゆりあ

利用される側の私がぐっすり寝たふりをした中二人の若い男女は水音を部屋に響かせた

筋肉がもう限界だ
でも起きていることがバレたら終わり
眠いのに、こんな姿勢じゃ眠れない
二日酔いの吐き気が酷い
二人のせいでもあるけど
私はもう、きっと神から見放されたんだ
やっぱりあの後タクシーで一人で帰ればよかった

あたし結構真面目なんだよってどこが?
会って3度目の相手とよく、しかも私がいる前で
まるでヴァンパイア
よくヴァンパイアみたいって言われるらしいけどほんとうだね
外国のロックが好きな同級生
軽蔑するよ
彼、耳にピアスいっぱいだね
変な前髪の長い髪型
爪も、黒い
部屋は無駄なCDでいっぱい
三人で変な下らない映画のDVDを観た
本当の退屈ってこういうこと

頭が痛い
思わず乾いた笑い声をあげてごまかした

昨日は、パンクロックみたいな夜
あたしドラムマシンの椅子に突っ伏して眠ったふり
朝は二人を起こすためにイギーポップの曲をわざとベッドフォンから音漏れさせながら聴く

先生、私、自分が脇役の劇はいやです
変えてください


でもあの娘みたいに美しいヴァンパイアになら、少しだけ、なりたい


自由詩 天使の居ない夜 Copyright ゆりあ 2009-09-13 05:11:48
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