思春期より
笹子ゆら



.
i am a girl


中途半端に背伸びを繰り返して
落っことしたものはなんだい
多分 あなたよりは美しいもの
そんなもの
いつかは忘れてしまうから

知らない間に歪んだ爪先に
生の喜びを授けようとしていた
わたしの頬に残る赤が
酷く急かすので

好きじゃないって呟いた
あの日の夕陽を返してほしいよ


.
無秩序に広がる世界
わたしじゃないわたし
唇から開け放たれていた孤独

どれも正しくなかった
ただ認めて欲しかっただけなのに
割れたコップは戻らない
違わないよ


i am a girl

長い睫毛に残る香りに
脅かされていたのは きっと
知り得ないこと


.
知らないふりをして
正論を覆い隠して
生きるというのはこんなにも
こんなにも苦しいのに
わざとらしい笑みを絶やさないのは
どうして?

わたしが
わたしじゃなくなっていく
塗り替えられて
頷くだけの機械になっちゃいそうで
怖いんだ

うまくやっていくための
「仕方がないこと」
繰り返したから生き残れた
分かってはいるけれど



.
忘れられないよ
i am a girl
無数の存在へと成り下がる
i am a girl
ただひとつになりたい



i am ...


自由詩 思春期より Copyright 笹子ゆら 2009-09-12 16:10:30
notebook Home 戻る