思春期より
笹子ゆら
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i am a girl
中途半端に背伸びを繰り返して
落っことしたものはなんだい
多分 あなたよりは美しいもの
そんなもの
いつかは忘れてしまうから
知らない間に歪んだ爪先に
生の喜びを授けようとしていた
わたしの頬に残る赤が
酷く急かすので
好きじゃないって呟いた
あの日の夕陽を返してほしいよ
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無秩序に広がる世界
わたしじゃないわたし
唇から開け放たれていた孤独
どれも正しくなかった
ただ認めて欲しかっただけなのに
割れたコップは戻らない
違わないよ
i am a girl
長い睫毛に残る香りに
脅かされていたのは きっと
知り得ないこと
.
知らないふりをして
正論を覆い隠して
生きるというのはこんなにも
こんなにも苦しいのに
わざとらしい笑みを絶やさないのは
どうして?
わたしが
わたしじゃなくなっていく
塗り替えられて
頷くだけの機械になっちゃいそうで
怖いんだ
うまくやっていくための
「仕方がないこと」
繰り返したから生き残れた
分かってはいるけれど
.
忘れられないよ
i am a girl
無数の存在へと成り下がる
i am a girl
ただひとつになりたい
i am ...