透明な傘
こめ

揺れる花は荒野に一輪だけ

その上で流れた一線の流れ星

空間は穏やかに過ごしていた

まだまだ口にだしていない言葉は

たくさんあるけれど

それもこの花が枯れる時には言えるだろう

透明な傘を日傘替わりにして街をあるく

当たり前の用に何人かの人間が

僕を忘れているだろう

記憶とは薄いインクで描かれた絵画のようだ

ゆらゆらゆれてふらふら積もる
僕はいたって普通に

君の再生方法を見付けたけれど

それでも贅沢だと言うことを噛み締めた

強い風に巻き上げられた

枯れ葉は辛くてみていられなかったよ

何年も土に潜ってじっとしていて

そしてやっと空を羽ばたけるのは

たった一週間しかなかった

それでも飛ぶことを望むのは何故だろう

死ぬ前に最後に空に会いたかったのだろうか

しかし僕はセミじゃあないから分からなかったけれど

これだけは言えた

今日も空は綺麗です





自由詩 透明な傘 Copyright こめ 2009-09-11 00:06:22
notebook Home 戻る