Freeway/環状線
月乃助
蹂躙する環状線の
分離帯にたたずみ
海蛇さながらに うごめき流れさる車たちの
列をなしてすべり進む そのあまたな先頭に
まっすぐに向かって駆けだせ
つめたい高架の道を
ざらめく足の裏に感じるのだ
おれには
それが許されるはず
すぐ横に
体をすり抜ける車の波の
車線を区切る 白線のその上で
なぞるように
ひとあし ひとあし を確かめる
すべての
逆方向へと流れる さだめられた
都会の日常が知らぬ間
おれをつかまえにくる前に
石礫を言葉にひろい 手にし
それを なげつけろ
おれは、それがために
ここにいるのだから
高低のビルの箱たちをながめては
積み木を手にした幼な子のように 哂ってよいのだ
高架のその道にさがす言葉は、
投げつけようとする巨岩も ならば、
小石さえも そこには ないのかもしれぬ
ただ、流れいく時代のすがたを思おうとも あるのは、
淀んだ都会を織り成す 車の泥の河
は、創造をやめた黄泉への導き だと
街のやつ 哂い声で言いやがった
ならば、なおも生きて 言葉を紡げと
天からは、疫病のように
街一面に 携帯の雨が降り注いだ
この時代 を 死に物狂いで
乗り切れ