宇宙が目眩をおぼえている間
瑠王
宇宙が目眩をおぼえている間
数億年の細胞 私達はその目眩の中を浮かぶ旋回する銀の羽根
彼の呼吸によって翻弄される綿毛
延々と降下 そこに支配などない
人が花びらを一片一片千切るように
あるいは石を彫るように
彼の呼吸によって旋回する銀の羽根
目指す先など無く
ただ宇宙が目眩をおぼえている間
数億年の細胞 追憶に瞬く蒸発
地上のすべての構造が火と調和を知ったように
延々と受け継がれる意識 そこに支配などない
宇宙がうつむいて揺らめく間
私達が現れて揺らめくだけ
彼の黄昏を放浪する秒針の閃光
そして宇宙が憂鬱をやめ
翼をうねらせて去りゆく頃
残された巣はせめて私達の架