白子式
サトタロ

新婦は足を滑らせて既に三度転び
そのたびに父親は表情を曇らせた
光輪を背負った神父は
両腕を広げ天を仰いでいた
その口から止めどなく白子が出続けていた
ヴァージンロードは白子の滝となっており
列席者の何人かは嗚咽が止まらない
式はまだ始まったばかり
新婦の父親のたっての願いは
こうして果たされようとしていた


自由詩 白子式 Copyright サトタロ 2009-09-08 03:37:14
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