落下
乱太郎

夜の揺らぎの隙間を埋めるように
単調な音楽が鳴り響く
傷ついたレコード盤
あ行の旋律
は行の音階

誰にも聞こえていない
誰も聞いていない

真昼の顔を脱ぎ棄て
裸の肉体を擦り合うことで
記憶を消そうと
美と善の

マンホールの蓋など
本当はどこにも無いのだが
永遠の底に辿り着く錯覚
そして恍惚のために
身を落とす

乳白色の体液を
何度も呑み込んでいった

男と女
闇に監禁されて


自由詩 落下 Copyright 乱太郎 2009-09-07 18:03:53
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