やさしい扉
月乃助
ながいあいだ 知らずにいた
きっと知らずにいたくて、知らないふり
大学を卒業しても 仕事に糧をえても 結婚しても
ずっと、そこに扉があったなんて、
そのことすらも 気づかずにいた
わたしはわたしで 普通だって、信じていた
優しい親の顔で 子供の手をひいていても
家族で食事をしても
笑顔で仕事をしていても やっぱり
ずっときえずにあった 扉
でも、とうとう気づかされた
ひどく回り道をしたようで、それでいて、行路は
最短距離でめぐり会ったのかもしれない
だれも 普通は持っているようなものなのに
すぐにそこから、するっと入っていく人も 多いのに
どうしてか、わたしはそれができずにいて
それでも ずっとそれに気づかずにいた けど、
それをみつけたのは、たいへんな思いのすえ
だって、ほんとの自分を知ることだったから
けっして良い自分だけでないなら
なおさらのこと
自分を知る鍵の一つは、
自分に問うこと それだけ
どうしてって、それが始まり
母親が子供を抱くように 大切にしてきた自分の かわをはぐ
ほんとうの姿をみるんだもの
それってひどく勇気のいること
でも、それがきっと入り口 どうしてって問うこと
扉は入り口、それを開けるのは自分でなければならない 他の人はやってくれない
やってくれても それは、きっと真実の扉ではないかも、
大事に守ってきた自分は、どんなもの
太っているとかブスだとか 姿や形や見た目でも
ワタシは、心が狭いって 卑下するそんな種類のものなんかじゃなくて、
もっと、人の心の核にあるもの それを知ること
わたしのそれは、確かにひどいものだった
苦労して見つけたのは、冷酷や臆病、プライドのかたまりのそんな自分
それが分かるのに、ひどく時間がかかった けどね
もう目をそらさない
わたしにとって、
その扉はきっとあたりまえな 社会や世界へつながる道への入り口、
家族や兄弟 クラス・メートや同僚なんかとも違う
そう、友達なんかを作る方法
社会につながるそれは、最も単純な人間関係
それができないならば、扉はしっかりしまったまま
だから、それをあけるだけ、
でも、扉があることを知らなければ 自分の部屋に閉じこもったきり
それを見つけるのが 最初かも
それが 始まり 自分の扉を見つけること
自分を見つめて 扉が、自分が、なにかを知ること
恐れずに 恐がらずに
だから問う、そうして みてみる
どうして?って
嫌われるのは、どうして?
友達がいないのは、どうして?
人と話せないのは、どうして?
イジメをされるのは、どうして?
人を恐がるのは、どうして?
落ち着かないのは、どうして?
冷たいのは、どうして?
人を憎むのは、どうして?
すぐに悲しんでしまうのは、どうして?
どんな自分がいるのか、
どうして? どうしてか? わたしは、なんども自分に聞いたよ
たくさんの問い、その答えをさがすこと
どんな扉がまっているか、
それは、きっと自分のなかの、大事にしてきたもう一人の自分
鏡に映る姿を見てみる
それから 扉の開け方を考える、
今度は、どうしたら それをなくせるか、良くできるかって、
扉を開けるのは、自分しかいないもの、その方法の鍵はそれ
だから、たずねてみる いつも守っているのはなに?
何かに逃げても 隠れても きっと 扉は消えやしない
それが、知らずに重くなって 閉じたままでわたしをつぶす
もう少しで つぶれそうになった から、わたしは気づいた
そんなこともあったという
つまらない わたしのつぶやき