必罰
岡部淳太郎
誰も待ってくれないから
みんな子供であることを
あきらめるしかなかった
そうして前を見て進み汗をかいては
花の色でさえも忘れていった
たがいの溝を埋めあっても
ひとりずつは変らず小さく
いまいるこの場所が
片隅でしかないことを
さとらなければならなかった
それでも時々立ち止まって
足下の泥に目を留め
どこかの梢で啼いている
鳥の声に耳をすました
そして遠い昔に言い忘れたのが
どんなことだったのか
思い出そうとしていた
きっと世界がばらばらに分かれた日から
僕等はずっとかくれんぼをしていたのだ
いつか見つかる
いままでに犯したどんなささいな
汚いことも美しいことも
いつかは発見される
そう思いながら
どうしようもない青空を見上げていた
みんなもう子供ではなく
ふりおろされるものを
ぼんやりと予感していた
(二〇〇九年八月)