重さと軽さ
小林 柳

はじめはみんな ちいさくて

とてもかるい

うまれたばかりのとき

目をつぶって あけたら

きえているんじゃないかと

きっとそれくらい


十年、二十年と生きるうちに

私達は成長し 変わっていく

あなたやみんなとの間に

私は少しづつ実っていった

あなたも

私やみんなとの間に

育っていったはず

きっとたまには

こいつなんか 目を閉じたら消えていればいいのに

なんて思われながら


でも まだ私達はここで

その存在の分だけ 世界に強く縛られている

地面に足跡を残して歩いている

自分を背負って 私達は生きている


時に

そんなもの全て放り出そうと思い

はだかで どこかで 泳いだり 走ったりしたいと思う

できたら 空も飛んでみたいような気もする

誰にも止められないで

誰にも叱られないで

理由も責任も約束もなし

私じゃなくても 誰だっていい

ただ 広い草原と 青い空を見たい

地平線と一緒に

夜に消えてしまいたい

透き通るような海で

ココナッツと一緒に

ぷかぷか浮かんで

重力から自由になる

そうやって ふわりと生きられたら いいなあ と思う


でも みんながもし

明日もまたな

って言ったら

あなたがもし

好きだよ

って言ってくれたら

結局

ここまで歩いてきて 良かった

って笑うかもしれない

やっぱり うちが一番だね

って言うかもしれない



そういうものだと おもいませんか


自由詩 重さと軽さ Copyright 小林 柳 2009-09-06 12:29:10
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