通り雨が沼を覆う
北村 守通

波紋がひろがっていた

天上からも貫ききれず
水底からも貫ききれず
貫き通せなかった
幾多の
もろもろが
波紋となって
分解され
吸収され
なにごともなかったかの様に
戻されていった

一瞬
ほんのわずかの間だけ
ほんのわずかなくぼみを作ることには成功していたが
瞬く間に
本来あるべきとされる
調和のとれた平面へともどされるのであった

界面は
揺らいでいたが
それでも本質的に
界面であることは変わらなかった
そのこと自体は
揺るがなかった

そして
短い抵抗も
やがて終わるのだった



自由詩 通り雨が沼を覆う Copyright 北村 守通 2009-09-06 03:04:17
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