ありふれた恋
月乃助


夏の夕風が さやかに 
吹きぬけるような 
誰にも優しい きみだから 

生きる重さを手に さげて
心をいためて ばかりいる
会えないときは、なおさらに
名もない星のような 孤独や寂しさの 
またたきの音に 耳をかさないで

まだ幼くて 恋のたわむれに なれない
くちづけさえも ぶきようだけれど
からめる指の 今は ただ
僕の手をしっかりと にぎりしめて

息のつまる この世界に、
昨日を書きとめるように はかなく
明日を思い描くように むりょくに
誰をも すくおうなんて 無理だって

僕には、わかったもの
やわらかな水をそそぐ うつわは、きみの姿

きっと めぐり合えたのは、
思いまどう きみの心に触れるため
それさえも 不確かだった きのうまで 
気づいた今は だいじょうぶ 
だけど
きみも知らない顔で まっていた
愛をつむぐ ありふれた恋をするあいて

うそじゃないもの
どこにいたって 想ってる
うつむきながら
きみを だきしめる、こわしてしまうほど
きみを あいする、時がつきるまで

だから、

愛しい 人
僕からの願う想いは、たんじゅんな
恋心ほどに ありふれた言葉たち

つよくなろう いっしょに
少しばかりの ゆうき で
目をそらさないで
僕をみていて これからも、



自由詩 ありふれた恋 Copyright 月乃助 2009-09-05 04:30:24
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