さようなら、ボクの救世主。。。
Lily of the valley

『愛』と言う名のエゴで、ずっと彼女を縛り付けていた。
この世から、解き放つことをしてあげられなかった。
彼女が亡くなってから、三年半。
ボクの髪は伸びつづけ、思いは強くなっていった。
周りを見ることもなくなり、他人との交流を避けるようになっていった。
それを後悔したことなど、これまでには一度もなかった。
だけど、それでは彼女は喜ばない。
そう思うようになった。
いつまでも立ち止まったままではいられない。
そう思えるようにもなった。
ボクはこれまで、彼女の人生を生きてきた。
でもそれは、ボクの彼女へ対する思いを強くしてしまった。
妹のようで、親友のようで、恋人のようだった、大好きな彼女。
ボクの彼女への思いは、『家族愛』であり、
『友情』であり、『愛情』でもあった。
妹だから、守ってあげたい。
親友だから、甘えさせてあげたい。
恋人だから、支えてあげたい。
そんな、普通の人が思っていそうな感情が、ボクを取り囲んでいた。

『愛しい』
言葉にすれば、こんなに短く、ちっぽけなものなのに、
中には計り知れない思いがある。
彼女のことは今でも好きだけど、このままではいけない。
彼女を、乗り越えなければならない。
この世で、一番最初に好きになった人。
一番最初に愛した人。
彼女を失って、もう恋なんかできないと思っていた。
全部、彼女とともに、燃えてしまったのだと、思っていた。
でも、本当は違った。
忘れようとしていただけ。
誰かをまた好きになることが、怖かっただけ。
自分が変わってしまうことを、恐れていただけ。
彼女の死を、認めたくなかっただけ。
だけど、そんな悲劇の主人公ごっこも、もう終わり。
彼女を忘れたいわけじゃない。
忘れるわけじゃない。
ただ、乗り越えるだけ。

四年前のあの日。
周りから認められず、嫌われ、存在に疑問を持っていたボクを、
認めてくれた。
ボクを、『同じ人間』として見てくれた、最初の人。
優しく微笑んでくれた、最初の人。
『友達になろ。』と手を差し伸べてくれた、最初の人。
ボクに、人の温かさを教えてくれた、最初の人。

感謝の気持ちをこめて、精一杯のことをしよう。
もう、過去は振り返らない。
もう、彼女をこの世に縛り付けたりはしない。
これは儀式。
彼女の死を乗り越えるための。

涙を堪えて、空にこの言葉を送ろう。

バイバイ、ボクの救世主。
さよなら、ボクの、大好きだった人。。。


散文(批評随筆小説等) さようなら、ボクの救世主。。。 Copyright Lily of the valley 2004-09-11 00:11:57縦
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