りんご飴
とうどうせいら

あまくなった
熟れた私は
のばしかけの髪を
洗う。

したたる
雫をなめてみて。
りんごの
香りがするよ。

モーツァルトを聴いて育ったりんご
のように
あまい
からだ。

かなわなくても良いから
おもいでを下さいと
夏帯を解いたら
あの人は変わったかな。

果物屋さんで
一個八十円。
飴をかけたら
夜店で一本五百円。

灯る提燈
笛の音
お祭りは続く
あなたのいないここで。

夜着を羽織ると
夏の夜はひぐらしの雨。
足を止めてくれて
ありがとう。

りんごなりに
大好きでした。


 


自由詩 りんご飴 Copyright とうどうせいら 2009-09-04 18:56:57
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