上海から帰国すると

仕事仲間たちと須磨の別宅に向かった

ビジネスになりそうなので

今から徹夜でパワポをつくるのだ

このプロジェクトのスポンサーは

明日しか時間が取れないのだという

日本での仮説は

現地取材を重ねることで確信となっていた

俺は口出しだけして若い奴らがパワポをつくる

こいつらは優秀だ

経験さえ積んで直感力を磨けば

俺なんかいらなくなるだろう

部屋をでてソファに寝転んだ

ハバネロ大王を食いながらビールを飲む

愛人と別ればなしのメールをする

カーテンが揺れる

人影のような気がする

虫が鳴いている

胃が痛む

すきっ腹にハバネロとビールは最悪だった

若い奴が俺を探しにきた

上海の喧騒のなかで

こいつらはたくましくなっていた

まだもうちょっと

こいつらより上にいたいと思った

廊下をどかどかと歩く

○○さん、リーチュンさんとメールっすか、

アホ、あれはあそび、今のは火遊びや、

○○さん、上海の日系企業で働いてる中国人の年収、なんぼで入力しましょ、

俺は若い奴を追い越して

仲間たちが仕事をしている部屋に入った