「潮騒」
月乃助
光来の海に
想うまま 焼けた砂を飛ばせば
来歴は誘われ
まばゆい白波が綾なす 潮騒の天覧模様
小さな島の
漁師の若者と海女の娘の
恋物語
しのつく雨がたたく嵐の午后は、導きの
素顔のままの 息づきに
火照る肌ゆえに求める 純情
「その火を飛び越して来い。
その火を飛び越して来たら。」
炎の向こうに 若さゆえの
娘の声が ひび割れたガラスに
真摯に/永劫に 響く
険しいがゆえに初恋は、すべてをささげ
かける いのちほどの
わずかな 休みも
遊びさえない 一点に集約され
愛しい耀き
…ならば
ぼくもまた
燃ゆる火を越えて ゆこう
そして あの若者のようにとらわれず 強く
きみの すべてを抱きしめ
この手にしてみせる