駝鳥と鳥ー突然群れから離れた君へ-
……とある蛙

飛翔する鳥は駝鳥を馬鹿にしていた。
飛べない鳥は鳥では無いという彼らの傲慢さ

飛翔する鳥は自由だという。
飛翔すること自体が美だと。
彼らは美を体現していると自ら誇る。
それを群れの中の仲間内で自慢し合う。

しかし、
自由に飛んでいるつもりだが
たった1個の石飛礫(いしつぶて)で群れは霧散し
当たった鳥は落下する。
奈落の底に落下する。
底の浅い自由よ。底の浅い誇りよ

しかも
地上に降りた鳥は悲惨だ。
よつあしに喰われないか、いつも怯えている。
無表情でびくびくしている。
それでも簡単には死なない。死ねない。
本当は鳥の本能として
彼等は地上を恐れ、
地上から逃げだそうとしているだけなのだ。
それで一生終わる。

真実、彼ら鳥は大空に縛られているのだ。

鳥は自由だと勘違いしている。
自由に飛んでいるつもりだが
いつかは疲れ果てて落下する。
奈落の底に落下する。
底の浅い自由よ。
地上は彼らの生まれたところだ。

しかし、空を見上げることすらない駝鳥は強い。
いつも地面にあるはずの餌を探して血眼だ。
彼らの頭上に大空は無い。
あるのは遙か彼方にあるはずの地平線だけだ。
追いかけても到着しない地平線だ。

だから、駝鳥は首を伸ばしてキョロキョロし、
いつも地平線まで
逃げ出すチャンスを伺っている。
彼らもまた地上から逃げ出そうとしているもので。
結局、鳥は何かに縛られている。
だからいつもびくついている。

イメージの貧困なものは悲惨である。
しかし、イメージすらないものは幸せだ。

怒りながら笑えちまう。


自由詩 駝鳥と鳥ー突然群れから離れた君へ- Copyright ……とある蛙 2009-09-02 09:41:54
notebook Home