さあね
瑠王

さあね
と、言ってごらん
それだけで千と
一夜の妄想を掻き立てる

さあね
と、言ってごらん
それだけで君の
血の色は藍にも黄にもなる

さあね
と、言ってごらん
夜が銀の杯をひっくり返して空に
幾つもテントを張る

さあね
と、言ってごらん
長い廊下の向こうに
姿を隠してあるいは
耳もとで

さあね
と、言ってごらん
それだけで君の
暦は百年先も謎めくから

それだけで朝は
要らないなんておもう

さあね
と、言ってごらん
それだけで僕は
君を一生忘れない

言ってごらん
さあね、と




自由詩 さあね Copyright 瑠王 2009-09-01 22:54:37
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