短歌はこうして死ぬ
キッチン
八月の終わりが夏の終わりなら何かを始めなくてはいけない
開戦の口笛が一つ鳴り響く ヤングフォークに歌はいらない
デイトリッパー僕たちの体では短歌は二度死ぬいまかいまかと
僕たちのダンスを止める事なかれ 短歌はこうして三度目も死ぬ
アクロス・ザ・ユニバース カブトムシたち 三十一文字では何も歌えぬ
初めての短歌を亡くした夜なのに今はとにかく君に会いたい
参列者 父、母、君と、ジャンガリアンハムスターたち 僕はいらない
明日からは三十一文字の定型に嘘をはめ込む 人にあらずや
明日
秋が来た、何も変わらぬベッドの上で、去年も秋は来ていたと知る。
太陽が見えるまでなら今日だから急いで鋏で前髪を切る
散髪の跡は流れて消えてしまう 短歌はこうして死ぬのだと知る。
よく晴れた通りがあるから外に出るついでにすこし、君に会いに行く
街路樹の散髪の跡豪雨では流しきれない短歌もある
ふかしいも食べたい君はこの先で落ち葉を集めているのだろうな
捨てきれぬ短歌の束と芋を焼く 短歌はこうして生きるのだと知る。
紅葉の効用確か高揚と君はこう言う「ショートソング、フォーユー」