靴はつやつやの焦茶色
リュウセイ
ふと空を見上げると
夏じゃないって思う
そうしたら次の日から
「秋」
って言葉が
「秋」
って言葉を
耳が敏感に聞き取るようになる
静かなそら
澄んだ風
クリーム色のスプーンと
からし色の鞄と
もうひとつ、渋い茶色のスプーンと
あんなに嫌だった温かい飲み物を口に含むと
ああ、
ほっ‥として。
ほっとするね。
まだとうもろこしは食べたいけれど
まだ、風鈴の音も心地良いけど
真っ白い桔梗に目を奪われて
地に落ちて草臥れた百合を通りすぎて
お気に入りの上着を引っ張り出さなきゃって
早足になった。