傘をひらく
服部 剛
雨が降ってきたので
ビニール傘を開いたら
突風が吹いて
傘が捲り上がりそうなところで
むむっと踏んばり、持ち直した。
たとえ突風が吹こうとも
傘の柄をがしっと持って
自分のからだを湿っぽい
雨水なんぞに、濡らしはしまい。
誰かにへこへこすることも
誰かを上から見下ろすことも
何だかとってもあほらしい
心弱き俺よ、忘れるな
日常のもやもやをつらぬこうと
開いた傘を、前に向け
嵐の中でさえ
ガニ股で踏んばっている、男の姿を。
自由詩
傘をひらく
Copyright
服部 剛
2009-08-31 16:54:09
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