かえりみち
瀬崎 虎彦

おなかが空いてパニックになった
夕陽が不気味に背中を追ってくる
こういうときなんだ誰からも
愛されていないとわかるのは

こどものときからそうだったんだ
証人は僕しかいないけれど
自分はひとりぼっちで生きていく
それほど悲しいことではないと気づいてた

いつのまにこんなにおおきくなったんだろう
いつのまにこんなにたくさんのことばをしり
いつのまにこんなにいろいろのきもちをだき

いままでとおなじこどくのプールにうかんで
いままでとおなじかなしみのソネットをかき
いままでとおなじあいをうたっていきていく


自由詩 かえりみち Copyright 瀬崎 虎彦 2009-08-31 16:49:57
notebook Home 戻る