断章(海を見つめている)
たりぽん(大理 奔)
海沿いに並ぶ発電風車をくぐり抜けて
海風が膝を抱えている
吹かれて揺れる磯の花が
太陽の傾きを数えている
ぼろ布のように絡みつく
影の正体をゴム底に貼り付けたまま
そらを見上げるのがこわい
きっと鳶の飛跡のように
重力から解き放たれた手で
なぎ倒すだろうから
風車が今日を紡いでも
透明すぎて見えないだろう
漁網にからまる海藻を
啄む名も知らぬ鳥
夜半、沖に出るはずの舟は港で眠り
風車を吹き、花を吹くものが
私にも届いて欲しい
海風が膝を抱えている
防風の松林を抜けて