Ostrich/駝鳥の願い
月乃助


ものがたる 星から ふってくる
はねのおと
ほろんだ鳥族の 夢が はかなく
僕の部屋の 窓辺に
ながれ つく

星をねがう
走鳥類のまつえいが
ねむる
広げた灰色の つばさが
風のだいごみに
逸楽をはなち 天へと飛びたって

夜空に とわの
みめうるわしい スワンの十字
輝く何ものも持たずに
長い首で見上げ 星のした 土に眠る
役にもたたない羽の 僕
それでも 柔らかな羽毛をまとい

電飾の五十ヤード
鹹味のえさは、ただ のどの
渇きに
ステンレスの孵卵器だった母を恋う

毎夜 さそいにくる星たち 
体をゆらめかせ まいあがる
巨大な 飛ぶ鳥の姿の僕は、
天を いちずに目指す

小屋の中で
夢見ながら
明日、僕はこの身を ささげ
スーパーの棚にならぶ
肉になって
あなたに 会いにいく

かたまりの
羽さえも 首さえもない
そのときこそ 
一つの たましい となって 宙を翔ける

天のあなたの そばに 羽をひろげて星になる 

そのために 明日は
きっと 僕に
ナイフの冷たさで やってくる




自由詩 Ostrich/駝鳥の願い Copyright 月乃助 2009-08-30 01:20:56
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