痴漢レスラー
月乃助

電車は満員の 周りは

レスラー達の汗臭い 男の息づかい

すぐに俺にうでがのびる

きんたまをつかむ その逞しい手に

声をあげようとするのに

首をしめあげられて 声もたてられずに

もがき

他のレスラーたちは 知らぬ顔で

俺の姿を横目にだれもとめず いつまでも

ひたすらに つづく恥辱

そとは行き交う美しい街なみ

あらい息遣いに

ホームには 痴漢にあった女たちの

あざけりの 微笑

それさえも おんな達が

知らない男に ふれられる乳房の 腰をはう指の

おぞましい感触には およびもしない

おろかな 男の
やさしい おだやかな
あまい夢想


自由詩 痴漢レスラー Copyright 月乃助 2009-08-29 03:02:14
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