ギブスの花
月乃助
陽ばかり 集めた
葉緑素のいざないに
うなずいた 午后の中庭
見まがうほどに 想いをこめ
緊張も痛みも しみだし きえゆく 空に
投げ捨てる ガウン/ バンデージ/ 車椅子
罪も罰も 痛みも モルヒネもすべてがみな
病き凝結しては 一つに 表層となったギブス
ラナンキュラスの つぼみの花弁をはがすように
それより むしりとる ただ中に
姿をかくした 淘汰の法則からの快方
死ぬことなど ゆるされぬ のなら
生きながらえよ
息づきながら とまどいながら
裸を さらしては
雌しべは、つかのま
陽色にそまり
なにも 持たずに
降り始めた
虹の雨に
身を任す