ギブスの花
月乃助


陽ばかり 集めた
葉緑素のいざないに
うなずいた 午后の中庭
見まがうほどに 想いをこめ
緊張も痛みも しみだし きえゆく 空に
投げ捨てる ガウン/ バンデージ/ 車椅子
罪も罰も 痛みも モルヒネもすべてがみな
いたつき凝結しては 一つに 表層となったギブス
ラナンキュラスの つぼみの花弁をはがすように
それより むしりとる ただ中に
姿をかくした 淘汰の法則からの快方
死ぬことなど ゆるされぬ のなら
生きながらえよ
息づきながら とまどいながら
裸を さらしては
雌しべは、つかのま
陽色にそまり
なにも 持たずに
降り始めた
虹の雨に
身を任す


自由詩 ギブスの花 Copyright 月乃助 2009-08-29 01:12:04
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