確信〜the core ack. sin〜
伊月りさ
わたしたちは
ノートを破る
戦争は、ありました
原爆は、おちました
南京大虐殺は、
「無かった」
と言う
きみはいつでも
修正液を用意している
「お前だけだ」
と言う
ひとはどこかで
違うだれかにキスをして
それを書き留める臆病者
被害者の
傷痕が不足している
視認の不足
死人の横溢
・・・たしかめたい、
・・・たしかめなくてはいけない、
秘密基地はどこだ
22世紀でも
酸化チタン、メチルシクロヘキサン、は
紙上では分解できないが
きっときみの眼球は取り外せる
穴から入って脳を見られる
けれど
そうしてどうするつもりなのだ
戦争は、ありました
原爆は、おちました
南京大虐殺は、ありました
わたしはきみを疑いました
今、美しい瞳に
渡り鳥の軌跡のような睫毛、
檻のような影を落として
見つめ合うわたしたち
片手で記し
なお確実に破きながら
見つめ合うことをやめたくはない
これが不信だというのなら
愛はただの宣伝です