「 あふれだす。 」
PULL.







別れぎわにキスをして手を振って帰りのコンビニでふと…こぼれて。

なみだに濡れた千円札なにごともなかったようにレジに消えはいさようなら。


ひひん!と馬として嘶いて商店街を駈け抜けて馬子にも衣装。

剥がしたいカサブタをぶうぶうとぶたさんが押しとめる真夏の傷。

厚着のおとこをさがしては下着の中にもぐり込みたいと想う熱帯夜。


イヌに向かって「ネコめ!。」と罵ってるそんな気分あなたといるとずっと。

あふれてるありふれてる感情に台風みたいななまえをつけてやり過ごし。


ぽたぽたとあなたの顔から落ちることばいつものしょっぱいいいわけ。

ひとり残らず吸い込まれる駅のホームで忘れられたごみひとり。

またデートがおわり想い出すのはあなたのケータイの背中ばかり。


あふれだすなみだを舐めていつかの海に溺れた記憶あふれだす。

両手いっぱいに受けとめて息とめて時間をとめて待たないで。












           了。



短歌 「 あふれだす。 」 Copyright PULL. 2009-08-28 20:46:23
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