遠く名も知らぬ国の山頂で
瑠王
遠く名も知らぬ国の山頂で
待ち焦がれた炎は消え
緑立つ少年の波は
今や金色の秋にもえ
激情は嵐を忘れ
ただ ただ思い出を吹きすさぶ
燐光は空たかく
せいのび せいのびせども
つまさき つまさき立っても
神の膝には到底およばず
(あまりりす あまりりす はやくそこからでておいで)
遠く名も知らぬ国の山頂で
まどろむ蕾みは焦がれ死に
此処に立つ少年の脈は
今や夕凪の紅にもえ
緑の時代の円形劇場は
ただ ただいばら繁げ空虚なり
燐光は空たかく
しらぬい しらぬい浮かべども
つらつら つらつら祈れども
神の膝には到底およばず
(あまりりす あまりりす はやくそこからでておいで)