日食
葛西曹達

太陽が隠れて
みんな空を仰いでる
普段は俯いてるのに
今日は特別みたいだ

見慣れない光景を
待ち焦がれ憧れて
拝んであやかって
過ぎ去って忘れて

神様を見たことは
一度だってないけど
それに似たようなものが
宇宙に浮かんでいる

冷えきった世界で
静かに燃えている
たとえ見られなくても
隠されてしまっても

何も不思議なことじゃない
必要だと思うから
欲しがるのは当たり前
消えてからじゃもう遅い

だとしたら僕は
今まで何をしてきたんだろう
ひとりぼっちのため息が
輝きを鈍らせた


自由詩 日食 Copyright 葛西曹達 2009-08-28 10:44:38
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