羽骸〜it's of good behavior〜
伊月りさ

どこへ飛んでもいいんだよ、という
やさしい解放に
抑えつけられている

  この羽を燃やす人がいる
  大気圏への怖気を見抜いて
  好機とばかりに灰にする
  灰になるまで
  後ろめたいので祈ったりする

今日もたくさんの虚構が
虚構なりに生まれては死んで
きみがそんなことをしなくても
生きていくことの難しさなら
もう、だれもが知っているのに

満員の滑走路
助走ができず
仰ぐ空は広く明るい

  今のわたしにできること
  その一、羽の枚数を増やす
  その二、少ない羽で飛ぶ訓練をする
  その三、体をなるべく軽くする

轟音で抜けていくボーイングの窓から
クロスワードを解く面持ちで
たぶん、その人はわらっていて
吸殻をはじいて
羽が燃えて

日々は
そういうニュースで溢れている


自由詩 羽骸〜it's of good behavior〜 Copyright 伊月りさ 2009-08-27 17:48:15
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