落ちていくチミンの。
ジャイコ

君が食べた星の欠片をかき集め、
泣き出した彼女の海へと沈めることにしました。
そうすれば切り離した君の足がどこからか生えてくると、
君の指先が求めていた意味が教えてくれたのです。

刈り取ったみどりいろは
空の名前をずっと考え続けている蛙たちにあげることにしました。
彼らはそればかりを記憶の星に押し込めようとしているので、
少しばかり困惑することもあるのですが。

君の見ている夢の中でわたしは、
君の白い腕ばかりを描いている筈でした。

どこで組み間違えたのでしょうか、
ここにはもう食べられる程輝いている星がひとつも残っていないのです。

伸びゆく彼女の指先が、
きみの食べ尽くしたみどりいろをなぞります。
そのたびにわたしの心臓はひとまわり小さくなって、
消えゆく輝きは星を懐かしみ、
追うように音だけを残してゆくのです。

笑顔を忘れた蛙たちの足音がそろそろ頭上に迫り来る夕闇。
触れればぼんやりと輝きを取り戻す二重螺旋が、
わたしの足を繋いでいるところが見えました。

終わりの日まで書き込まれているよくできた設計図は、
今日もわたしのあちこちで増幅しては死んでゆきます。

わたしの意志の、届かないところで。


自由詩 落ちていくチミンの。 Copyright ジャイコ 2009-08-27 00:31:21
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