祝福
within
地球の公転軌道がほんのわずかずつ
ずれていることを憂うガリレオの
思いを想い過ぎて
抑うつ気味になった僕は
バナナがいいと聞いて
毎朝食べるようになった
いつか太陽の手をはなれ
地球が遊星のように旅立つ日が訪れたとき
地上に人類はもういないだろう
人類が旅立った後、残された生命は
何を彩ったのか
メタボリックと診断されて
酒をやめようと誓った電車のなか
何が楽しくて 始めた仕事なのか
忘れてしまった僕の小さな海馬は
啼いている
地球が再び微笑むとき
ともに食卓を囲むのは残された神様たち
僕のわずかな喜びは マルナカの
1パック380円のサービス品のお刺身
分け与えられた祝福はささやかだけど
僕は満ちている
嗚呼、今日も夕日がきれいだ
夕日の孤独を想うと切なくなるけど
いつか僕も夕日になりたい