祝福
within

地球の公転軌道がほんのわずかずつ
ずれていることを憂うガリレオの
思いを想い過ぎて
抑うつ気味になった僕は
バナナがいいと聞いて
毎朝食べるようになった

いつか太陽の手をはなれ
地球が遊星のように旅立つ日が訪れたとき
地上に人類はもういないだろう

人類が旅立った後、残された生命は
何を彩ったのか

メタボリックと診断されて
酒をやめようと誓った電車のなか
何が楽しくて 始めた仕事なのか
忘れてしまった僕の小さな海馬は
啼いている

地球が再び微笑むとき
ともに食卓を囲むのは残された神様たち
僕のわずかな喜びは マルナカの
1パック380円のサービス品のお刺身

分け与えられた祝福はささやかだけど
僕は満ちている
嗚呼、今日も夕日がきれいだ

夕日の孤独を想うと切なくなるけど
いつか僕も夕日になりたい


自由詩 祝福 Copyright within 2009-08-26 14:40:26
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